本日営業よりアップします。
昔の話で恐縮ですが、少年漫画雑誌といえば、チャンピオン、マガジン、サンデー、ジャンプなどが並び立つ時代がありました。私が少年時代を過ごしたところは田んぼ風景が広がる田舎でしたから、一番近い本屋さんまで15キロもありました。毎週刊行される漫画雑誌を小学生が買うことは難しかったのです。それでも当時の私たちは貪欲に漫画を読み漁ったものです。なぜそんなことができたかというと、年に何回か町の資源ごみが公民館の倉庫に一時保管されるのです。大量の新聞の山に混じって、大量の少年漫画週刊誌が捨てられており、倉庫に鍵がかかっていないことに気づいた私たちは、忍び込んで読み耽っていました。
世界恐慌の頃、昭和の初期の文化的流行を表す言葉にエロ・グロ・ナンセンスというのがありましたが、これはいつだって子どもたちが大好きな領域でして、当時の私たちは大人の世界の入り口を漫画雑誌から入手していたのでした。当時好きというのではないけれど、なぜか目が離せない漫画に「がきデカ」と「まことちゃん」がありました。前者はチャンピオン、後者はサンデーでした。
やがて町のフリーマーケットで「漂流教室」を一冊10円で入手した時に、それが「まことちゃん」と同じ作家であることに気づきました。たしかに絵は似てるけれど、内容は同じ作家のものとは思えませんでした。ふたつの顔を見せられたような感じでしょうか。「若葉のころ」を歌っていたビージーズがサタデーナイトフィーバーのビージーズと結びつかないのと似ています。ただ、これが、楳図かずおを語るときのキーワード「ギャグ」と「ホラー」だったわけです。結び付きがないように見える両者ですが、「ギャグとホラーは紙一重」と楳図自身は語っています。
その後たくさんの楳図作品を読んできましたが、少年時代に読んだ「まことちゃん」の印象は忘れることができません。
工務店のブログとしては彼が建てた「まことちゃんハウス」をこそ取り上げるべきだったでしょうか。